
        災害の語り継ぎは、防災へ活かされるべき知識である。
 
天明三年の浅間山大噴火は、天明の大飢饉と重なり、大きな被害を出した。
 
⓵先人がどう対応してきたのか
 
②災害で亡くなった人々をどう追悼してきたのか
 
③災害の経験からどのような知恵や工夫が生まれたのか
 
④それをどのように語り継いできたのか
 
本書では、こうした4点から「天明三年浅間災害」へアプローチを試みる。
 
今に見られる災害の罹災状況についても照合し、単に「語り継ぎは昔話」とするのではなく、現代の防災へ活かされるべき知識として解説する。
     
        
    
        
        
        関 俊明 (せき としあき)
 
1963年生まれ。群馬県東吾妻町在住。
 
群馬大学教育学部卒業。
 
平成28年度國學院大學大学院文学研究科史学専攻博士課程後期修了。博士(歴史学)。
 
県内小中学校勤務を経て、現在、群馬県埋蔵文化財調査事業団に勤務。
 
2004~2005年内閣府中央防災会議「災害教訓の継承に関する専門調査会」小委員会委員。
     
        
    
        
        
        災害の語り継ぎ ―はじめにかえて―
 
序 章 天明三年浅間災害・歴史災害の記憶
 
 
第一章 天明三年浅間災害にかかわる研究史
 
 第一節 学際的な視点と天明三年浅間災害
 
 第二節 地方史、郷土史における「天明三年」研究
 
 第三節 自然科学からみた天明三年浅間山噴火
 
 第四節 歴史学からみた「天明三年」
 
 第五節 考古学からみた天明三年浅間災害
 
 小 結
 
 
第二章 天明三年浅間災害の語り継ぎの構成
 
 第一節 取り組みの意義
 
 第二節 天明三年浅間災害と伝える事物
 
 第三節 事例と分類の試み
 
 第四節 自然的要素
 
 第五節 人文的要素
 
 小 結
 
→語り継ぎの要素を明らかにし、具体的な項目整理をおこない、語り継がれている機能や系譜を明確にすることで、減災文化の創造へつながる可能性を見出す。
 
 
第三章 語り継ぎの継続
 
 第一節 語り継ぎの所在と変化の実例
 
 第二節 災害からの救済と復興
 
 第三節 人物伝に登場する「天明三年」
 
 第四節 供養碑
 
 第五節 鎮撫・慰霊と奉納
 
 第六節 信仰や地域文化への特化
 
 第七節 災害地名
 
 第八節 年忌と供養
 
 小 結
 
第四章 我が国の火山系列の博物館について
 
 第一節 我が国の「火山」
 
 第二節 火山系列の博物館の定義と分類
 
 第三節 火山系列の博物館の一覧
 
 小 結
 
 
第五章 「風土記の丘」構想の再検討から学ぶ
 
 第一節 評価を扱う研究
 
 第二節 構想のあらまし
 
 第三節 史跡保存の背景
 
 第四節 風土記の丘設置の経過と理念
 
 第五節 国庫補助に拠らない風土記の丘
 
 第六節 二〇年経過した現況から学ぶこと
 
 小 結
 
 
第六章 語り継ぎの具体から野外博物館への展開とテーマ
 
 第一節 鎌原村―埋没した土砂の上に子孫の生活が続けられているムラ―
 
 第二節 川嶋村―絵図に描き残され地中に眠るムラ―
 
 第三節 震災遺構の存在
 
 第四節 野外博物館の構想
 
 小 結
 
 
終 章
 
おわりに
 
天明三年浅間災害語り継ぎの時間軸年表