
明治以前主流だった白喪服が、今日の黒喪服に変わったのは何故か?
現在に見る西洋流黒喪服や鯨幕の登場には明治天皇が密接に関係していたのである。本書は古代から明治に至る喪服の流れにも言及しており、時代順には書かれていないものの、日本喪服通史にもなっている。また、ちょっとした喪幕(鯨幕・黒幕・黒白段段幕)史となっている。 (「はじめに」より)
* 本書は2008年10月10日発行『明治新政府の喪服改革』の改題・新装版です。

風見 明(かざみ・あきら)
1939年 栃木県生まれ。
早稲田大学理工学部卒(修士)。三洋電機㈱での半導体開発のかたわら、身近な日本文化を研究し、『「技」と日本人』、『「色」の文化誌』(共に工業調査会)を著し、70人のエッセイよりなる『日本再発見』(NTT出版)の著者の一人となる。
定年後には『相撲、国技となる』(大修館書店)、『日本の技術レベルはなぜ高いのか』(PHP 研究所)、『横綱の品格 常陸山と大相撲の隆盛』(雄山閣)などを著す。

第一章 明治以前の喪服は白喪服が主流―江戸後期の代表的喪服は白裃と白無垢
第二章 明治五年、文官の大礼服と万人の燕尾服を制定―白喪服が黒喪服に代わる発端となる
第三章 明治十一年の故大久保利通葬儀は国葬並に盛大―会葬者は大礼服に黒ネクタイと黒手袋
第四章 明治十六年から二十九年までに五回の国葬―上流階級のみが関わり、政府は喪服を模索
第五章 明治三十年の英照皇太后大喪は全国民が喪に服す―政府指示の各種喪服は以降の標準に
第六章 英照皇太后大喪での天皇の喪服は黒喪服―律令時代以来の大喪で着用してきたもの
第七章 喪主の喪服は国葬と英照皇太后大喪で共通―昔の大喪で臣下に着用させたもの
第八章 英照皇太后大喪では随所に喪のシンボル色・黒―皇室系のものと西洋系のもの
第九章 英照皇太后大喪で登場した黒白縞の幕二種―この黒は後で喪の意味を持つようになる
こぼれ話/皇室喪服規程