
四半世紀にわたる水中考古学調査をもとに、国内外の海中・海浜などから発見された肥前磁器を紹介し、肥前磁器の生産と流通、積み出し港と貿易路など陶磁器研究における水中考古学の意義と可能性を明らかにする。

野上建紀(のがみ たけのり)
1964年、北九州市生まれ。長崎大学多文化社会学部教授。
金沢大学大学院社会環境科学研究科(博士課程)修了、博士(文学)。
専門は歴史(中近世)考古学、陶磁考古学。
有田町教育委員会主査(有田町歴史民俗資料館所属)を経て、2014年4月より長崎大学多文化社会学部准教授、2017年4月から現職。2025年4月より同学部長。長崎県考古学会会長。
単著に『伊万里焼の生産流通史―近世肥前磁器における考古学的研究―』中央公論美術出版(2017)、『陶磁考古学入門―やきもののグローバル・ヒストリー』勁草書房(2021)、『近世陶磁器貿易史―太平洋・インド洋への「陶磁の道」―』勁草書房(2024)、『「西海」の海域交流誌―多文化の海、交差する技術・疫病・信仰』〔共著〕雄山閣(2025)など。
サハメトレイ勲章(2009)、小山冨士夫記念奨励賞(2016)受賞。

序章―定海に潜る
第1章 海と陶磁器、考古学
土器の誕生と陶磁器/陶磁器と水中考古学/タイムカプセルとしての沈没船 ほか
第2章 水中考古学と水中遺跡
水中遺跡ができるまで/水中考古学のあけぼの/元寇船の発見/中世以前の遺跡と近世以降の遺跡/海底遺跡の土地は誰のもの? ほか
第3章 肥前陶磁の生産と流通
肥前陶磁の誕生/大量輸出時代/国内市場の開拓/展海令後の海外の磁器市場 ほか
第4章 肥前陶磁を積み出した港
伊万里津への道/旅陶器/海外向け製品と積出港 ほか
第5章 海岸に打ち上げられた肥前陶磁
動き出す陶磁器、漂着のメカニズム/東シナ海―吹上浜/瀬戸内海―陶片狂コレクション/太平洋―興津海浜遺跡/日本海―珠洲の海と海岸/北海道―松前町小松前川河口ほか
第6章 日本の海から引き揚げられた肥前陶磁
伊万里湾―鷹島海底遺跡/玄界灘―池尻海底遺跡/瀬戸内海―下荷内島沖/日本海―タラバ/太平洋―神津島沖海底遺跡/東北―陸奥湾脇野沢沖/北海道―上ノ国漁港遺跡 ほか
第7章 世界に運ばれた肥前磁器の貿易路
肥前磁器の貿易路/スペイン船/ポルトガル船とインド洋の船 ほか
第8章 世界の海から引き揚げられた肥前磁器
ヨーロッパ船籍の船/その他のオランダ連合東インド会社の船/スウェーデン東インド会社の船 ほか
終章 水中遺跡が意味するもの
水中公園/海底遺跡の見学方法/海底遺跡ミュージアム構想/水中の戦争遺跡と墓標 ほか