
ガネーシャ、ガナパティ、ヴィナーヤカなど数多くの名前を持つ歓喜天(聖天)は、人間に障害を与える悪神としての出自を持っている。
そのような神がなぜ人間のあらゆる願いを聞き届けてくれる存在となったのか。
古代インドから現代までの変遷をたどり、様々な信仰や俗信を詳らかにする名著が復刊!!
※本書は、弊社より1989年8月に〈初版〉を刊行し、2017年7月には〈新装版〉を出版いたしました。今回の〈第三版〉では、原文を尊重しつつ明らかな誤字・誤植を修正し、さらに〈初版〉収載の図版をすべて再掲載し、より読みやすくなるよう版面レイアウトを一新いたしました。

笹間良彦(ささま・よしひこ)
大正5年(1916)東京に生まれる。文学博士。
日本甲冑武具歴史研究会会長を務め、『図解日本甲冑事典』『甲冑鑑定必携』『江戸幕府役職集成』『下級武士 足軽の生活』『歓喜天(聖天)信仰と俗信』『弁才天信仰と俗信』『好色艶語辞典』『鎌倉合戦物語』『日本軍装図鑑(上下)』(以上、雄山閣刊)など数多くの編著書がある。
2005年11月逝去、享年89歳。

【第一章】聖天について
聖天とは/聖天の名のいわれ/聖天の像容
【第二章】俄那鉢底に対する認識
俄那鉢底とは/障礙神としての聖天/聖天の利益/聖天と鼠/十一面観音の性別/両性具有神/シヴァとパールヴァティー/猪頭の女毘那夜迦/聖天の名称・異称
【第三章】日本における聖天像と祀られた寺
日本における聖天信仰/日本における異形の聖天/聖天のしるしとしての大根と巾着
【第四章】聖天と大黒天
聖天と大黒天の類似性/聖天の持ち物/民間にも秘蔵される聖天縁/淫像としてみられた聖天
【第五章】聖天と十一面観音
聖天の実体/聖天と浴油供/聖天像が秘仏としての理由/聖天を降伏させる大威徳明王